アジサイの複雑多彩な色変化 −アジサイや化学で決まる色模様−|「生命と微量元素」講座<荒川泰昭>

「生命と微量元素」講座

アジサイの複雑多彩な色変化

アジサイや化学で決まる色模様  2015年6月〜

アジサイ
アジサイ(紫陽花、学名 Hydrangea macrophylla)は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木の一種で、5月から7月頃、青、紫、ピンクなどの花(装飾花)を密につけ、手毬状をなす。樹高は1–2メートル。葉は光沢のある淡緑色で葉脈のはっきりした卵形で、周囲は鋸歯状。一般に花といわれている部分は装飾花で、おしべとめしべが退化しており(中性花)、花びらに見えるものは萼(がく)である。原産地は日本で、ヨーロッパで品種改良されたものはセイヨウアジサイと呼ばれる。
紫陽花」は、唐の詩人白居易が別の花、おそらくライラックに付けた名で、平安時代の学者源順がこの漢字をあてたことから誤用が広まったといわれている。中国では花の色がよく変わることから「八仙花」または「綉球花」と呼ぶ。

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

最初は葉緑素のため薄い黄緑色を帯びている

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイの色変化は化学反応によって決まる!
花(萼)の色はアジサイに含まれるアントシアニン色素によるもので、その一種のデルフィニジンが補助色素(助色素)とアルミニウムイオンとの化学反応によって、青色へと変化する。
したがって、アジサイは一般に土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わり、「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になる。すなわち、土壌が酸性の場合はアルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合し青色を呈する。逆に土壌が中性やアルカリ性の場合はアルミニウムが溶け出さずアジサイに吸収されないため、花は赤色となる。したがって、理論的には花を青色にしたい場合は、酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを与えればよいことになる。同じ株でも部分によって花の色が違うのは、根から送られてくるアルミニウムの分布量に差があるためであろう。

ただし、品種によっては遺伝的な要素で花が青色にならないものもある。これは補助色素が原因であり、もともとその量が少ない品種や、反応を阻害する成分を持つ品種は、アルミニウムを吸収しても青色にはなりにくい。

また、花色は開花から日が経つに従って徐々に変化する。最初は花に含まれる葉緑素のため薄い黄緑色を帯びているが、それが分解されていくとともにアントシアニンや補助色素が生合成され、赤や青に色づいていく。さらに日が経つと有機酸が蓄積されていくため、青色の花も赤味を帯びるようになる。これは花の老化によるものであり、土壌の変化とは関係ない。

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)老化

アジサイ(紫陽花)老化

アジサイ(紫陽花)老化

日々、花の色が変化する!

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アジサイ(紫陽花)開花

アントシアニンや補助色素が生合成されるとともに、赤や青に色づいていく

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