微量元素と免疫系とのかかわり(免疫修飾)|「生命と微量元素」講座<荒川泰昭>

「生命と微量元素」講座
免疫機能と微量元素

「生命と微量元素」講座

微量元素と免疫系とのかかわり(免疫修飾)
微量元素の免疫修飾
 免疫系の最大の特徴は免疫応答を本質的に担っているリンパ球の増殖・分化・細胞死がクローンのレベルで制御されていることである。しかも、リンパ球クローンの運命は免疫系を構成する細胞間の相互作用によって決定される。
 このような免疫系の細胞間相互作用に対して微量元素は直接的に、あるいは栄養障害、ホルモンバランスの撹乱、器官の組織傷害、機能障害などを介して間接的に作用する(図1)。すなわち、微量元素はそれぞれがもつ生理活性に依存して直接に、あるいは細胞内代謝(ホメオスタシス維持)や細胞応答関与の酵素、サイトカイン、ホルモンなどの活性化機構やシグナル伝達機構への影響を介して免疫応答を修飾する(1−8)。そして、その修飾には、欠乏あるいは過剰による各微量元素固有の生理的最適濃度範囲からの逸脱に起因した障害が含まれる。しかも、この微量元素の免疫系への有害影響には免疫反応を亢進する場合と抑制する場合とがあり、前者は自己免疫疾患やアレルギー疾患(9)の原因となり、後者は感染症や発癌・癌進展(10)などの原因となることが考えられる。また、免疫系に変化を与える微量元素は用途あるいは用量に応じて免疫療法薬となったり、免疫毒となったりする。従って、この修飾にかかわる微量元素は免疫修飾物質(immunomodulators)あるいは免疫関連反応物質(immune-interacting compounds)として総合的に取り扱うことができる(1、3、7)。

免疫修飾

文  献
1) 荒川泰昭:「微量元素と免疫機能」(総説).臨床検査 53(2),2009
2) 荒川泰昭:「微量元素の代謝と生理的機能」(総説)臨床検査 53(2),2009
3)荒川泰昭:毒性試験講座 第10巻 免疫毒性−金属−. 東京,地人書館,1991
4) 荒川泰昭:トピックス「免疫機能における微量元素の栄養と毒」―金属による胸腺免疫の病的老化―(総説). Biomed. Res. Trace Elements 14(4): 249-258,2003
5) 荒川泰昭:栄養―評価と治療、特集“微量元素の評価”「微量元素の栄養状態の評価としての免疫能について」(総説). メデイカルレビュー社、(大阪)、16(2): 73-83, 1999
6)荒川泰昭:免疫と亜鉛(総説), Gut Fronts, 協和企画通信, No.4, 7-10, 1995
7) 荒川泰昭:特集「免疫機能と微量元素」,治療,南山堂,東京,88(7): 1871-1876,2006
8) 荒川泰昭:第3章 微量元素の生理作用―免疫と微量元素―.生命元素事典(桜井弘編)、オーム社、東京、pp242-246、2006
9) 荒川泰昭:第3章 アレルギーと微量元素.生命元素事典(桜井弘編)、オーム社、東京、pp266-269、2006
10) 荒川泰昭:癌免疫と微量元素(総説)Biomed. Res. Trace Elements 15(4), 317-325, 2005

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