「生命と微量元素」講座<荒川泰昭>

「生命と微量元素」講座

ご挨拶

日本微量元素学会を全国各地で開催するに当たり、出来るだけ多くの方々に「生命と微量元素」についてご理解いただき、日常の生活に取り入れていただきたく、企業の支援も得て、市民公開講座(無料:1500名程度収容)を共催しておりましたが、毎年のことで限界もあり、また世の中、ネットや電子書籍の時代に入って参りましたので、場所も費用も要らず、より身近にご利用いただけるウエブ(web)上で「公開講座」を開設し、「生命と微量元素とのかかわり」についてほんの入り口(概略)ではありますが、ご紹介できればと思い立った次第です。
ちなみに、ホームページ/サーバー会社のオーナーから、内容が堅苦しいので、「息抜き」としてギャラリーなどを設けてはどうかとアドバイスをいただき、一部私的コーナーを設けさせていただきました。

さて、本論に入りますが、哺乳動物を含め、ヒトの体はすべて元素から成り立っています。その中で、微量元素は体内存在量として0.7%しか存在しませんが、これらの元素がないと生命の維持、生体の発育・成長、正常な生理機能を維持することはできません。
24種類の微量元素の内、ヒトにとって必須の微量元素として認められているものは、鉄、亜鉛、マンガン、銅、セレン、ヨウ素、モリブデン、クロム、コバルトの9元素です。これらの生体を構成する種々の微量元素は、正常な生命機能を維持するために、バランス良く生理的最適濃度の範囲に維持・調節されています(微量元素の恒常性の維持)。
しかし、そのバランスが欠乏や過剰により破綻し、恒常性が失われると、特定元素の過剰蓄積や欠乏が誘発され、それぞれ特有の疾病が誘発されます。例えば、鉄や銅の過剰蓄積は活性酸素の生成を誘発し、酸化ストレスによる癌化を誘発します。カルシウムの過剰蓄積は最終的には細胞死(アポトーシス)を誘発します。また、亜鉛の欠乏は味覚障害、嗅覚障害、免疫機能障害、記憶学習障害、生殖機能障害などを誘発し、老化を促進します。
この講座を通じて、健康で長生きするために、生命や老化を調節、支配する、あるいは脅かす微量元素について考えてみましょう。
荒川泰昭

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