熱中症対策:ついに罰則付き法的義務化での救命!|「生命と微量元素」講座<荒川泰昭>

「生命と微量元素」講座

熱中症対策:ついに罰則付き法的義務化での救命!

Measures against heat stroke:
Saving lives with legal obligation and penalties at last!

ついに救命には対策を罰則付きで法的義務化せざるを得ない所まで来てしまった!

We have finally reached the point where we have no choice but to make measures legally mandatory, with penalties for lifesaving!
■ 異常気象(とくに熱波)の常態化と熱中症対策
異常気象が常態化する中、とくに熱波による熱中症など熱関連症状の発症が急増しており、国民の一般生活はおろか、労働現場においても深刻な問題となっている。
▼ 人為的な環境攪乱と異常気象(とくに熱波)の常態化
人間の利己的な傲慢さが故に、人間活動によって引き起こされる環境の破壊、すなわち森林伐採など都市開発やインフラ整備による過剰な開発、特定の生物種の過剰な乱獲、化学物質やゴミなどによる汚染、温室効果ガスの排出、外来種の侵入などによって個体数の減少や生態系のバランスが崩され、生物多様性の減少や環境破壊が引き起こされる事象を「人為的な環境攪乱」というが、その影響は、循環可能な自然界の攪乱とは異なり、一過性ではなく、継続的/残存的であり、しかも局所的なものからグローバルなものまで、無尽に拡大化している。
気象環境の異常化も、こうした人間の利己的な傲慢さが自然環境(生態系)に入り得ない人為環境(人間の社会系)を地球的規模にまで拡大化させ、その結果、生物系、自然系との相互作用を破壊し、地球的規模にまで生態系の破綻を拡大させ、地球的規模の環境問題を引き起こすなど、すなわち地球的規模の「人為的な環境攪乱」が大きな要因であるが、近年に多発する「異常気象」はさらに常態化し、地球的規模の「温暖化」どころか「熱帯化」の兆候すら露わになって来ており、人類の生存にまで影響を及ぼすことになっている。
すなわち、今や人間社会は「従来では異常」であった状態を「新しい平常」の状態(新常態:ニューノーマル)として認識せざるを得ない状況にまで追い込まれており、人間生活の新常態への適応はおろか、人類の生命に係わる症状の1つ「熱中症」を取り上げて見ても、その影響は甚大で、大きな社会問題となっている。
■ 日本における熱中症患者数の発生動向
日本における熱中症患者数は、年々増加傾向にあり、総務省消防庁報告データによる救急搬送人数でみると、2010年(56119人)以降大きく増加し、とくに熱波が続いた2018年は95,137人、次いで2019年が66,869人、2020年が64,869人、2022年が71,029人、さらに2023年には91,467人と年々多くなっている。とくに、厳しい熱波が長期間にわたって続いた昨年2024年の熱中症件数は、救急搬送人数でみると、5月から9月の期間における全国累計は97,578 人となっている。これは、調査を開始した2008年以降で最多の搬送人数となっている。その内訳を月別に見ると、6月(7,275人)および7月(43,195人)が過去2番目、8月(32,806人)が過去3番目、9月が過去最多(11,503人)の搬送人数となっている。
■ 日本における熱中症による年間死亡者数の動向
厚労省が人口動態統計(確定数)で公表している1年間の熱中症の死者数の動向を見ると、1980年代までは2桁台が多かったが、1990年代に入って増加傾向となり、1994年以降は1995年が318人、2000年が207人、2005年が328人と3桁台で推移している。熱中症患者数の増加が顕著となった2010年に初めて1731人と1千人を超えたが、2013年の1077人以外はまたしばらく3桁台で推移した。しかし、2017年以降は2018年が1581人、2019年が1224人、2020年が1528人、2022年が1477人、2023年が1651人と毎年1千人超えの4桁台で推移してきたが、昨年2024年の6〜9月の死者数(確定値)は、さらに2千人台に急増し、2033人と過去最多となっている。
▼ 全国の職場における熱中症による死傷者数(死亡者数)
また、全国の職場における熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、厚生労働省の報告では、2013年以降は2014年が423人(12人)、2015年が464人(29人)、2016年が462人(12人)、2017年が544人(14 人)、2018年が1,178人(28人)、2019年が829人(25人)、2020年が959人(22人)、2021年が561人(20人)、2022年が827人(30人)、2023年が1106人(31人)と推移してきたが、昨年2024年は厳しい猛暑日(気象庁の3千地点以上の観測地点で35度以上の猛暑日を記録)が長期間続いたため、統計を取り始めてからでは、過去最多の1,257人(前年比151人・約14%増)となり、死者数(確定値)は31人で、3年連続で30人以上となっている。これは、労働災害による死亡者数全体の約4%を占めていて、職場における熱中症対策の重要性が高まっている。
▼ 業種別に見た熱中症による死傷者数(死亡者数)
また、2019年~2023年の熱中症による死傷者総数(死亡者総数)を業種別に見ると、建設業、次いで製造業で多く発生していることが分かる。
建設業886人(54人)>製造業846人(18人)>運送業583人(5人)>警備業428人(18人)>商業435人(11人)>清掃・屠畜業272人(6人)>農業95人(9人)>林業36人(0人)>その他701人(7人)の順で多く発生している。〔*( )内の数値は死亡者総数であり、死傷者総数の内数である。〕
▼ 年齢別に見た熱中症による死傷者数(死亡者数)
さらに、2019年~2023年の熱中症による死傷者総数(死亡者総数)を年齢別に見ると、全体の約5割が50歳以上となっていることが分かる。
19歳以下84人(1人)<20~24歳276人(4人)<25~29歳272人(4人)<30~34歳262人(6人)<35~39歳333人(6人)<40~44歳381人(17人)<45~49歳545人(20人)<50~54歳515人(17人)<55~59歳513人(17人)<60~64歳427人(12人)<65歳以上674人(24人)の年齢構成で発生している。〔*( )内の数値は死亡者総数であり、死傷者総数の内数である。〕
■ 熱中症対策を罰則付き法的義務化とした背景
これまでに、労働安全衛生法においても「リスクアセスメントの実施が義務化」され、その罰則として「安全配慮義務違反」が設定されてはいたが、近隣の作業現場を見ると全くの無効状態であり、規則は形骸化され、全く実効性のない表面的/形式的な対応となっているのが現状であった。とくに、一部の事業者においては、その実施のみが目的となっており、本来の目的である「労働者の健康と安全を確保する」ことが実現されていないのが現状であった。
すなわち、リスクアセスメントの実施義務を罰則の無い「努力義務」として事業者の無視/軽視が常態化し、リスクアセスメントの重要性に対する衛生教育(1.知識の理解、2.態度の変容、3.行動の変容)が欠落していた。また、事業者の「労働者に対する責任意識」が欠落していた。見方を変えれば、提示された施策が、理解不足が故に、事業者や労働者にとって深刻に捉えるに値せず、説得力の無い信用性、信頼性に欠けるものであったと言えるかも知れない。
こうした現状をみると、事業者や労働者への知識の周知、教育訓練の強化だけでは実施の目的は達成できておらず、事業者の自覚、啓蒙など自律的管理を謳って安心している状態ではない。やはり、抜本的には、罰則などの法的な責任負荷の強化が必要である。
労働環境における「熱中症」のリスクアセスメントにおいても、現状は上記と同様である。国内における現状把握はもちろん重要であるが、今や地球的規模の問題であり、国際的にも共通して、1)リスクに対する認識の共有や感度の向上、2)アセスメント実施の義務化とリスク低減のための法的措置の導入、など安全対策の法的な明確化が急務であると考えられる。

上述の如く、■「日本における熱中症患者数の発生動向」に示すように、日本における熱中症患者数は、年々増加傾向にあり、総務省消防庁報告データによる救急搬送人数でみると、2010年(56119人)以降大きく増加し、とくに熱波が続いた2018年は95,137人、次いで2019年が66,869人、2020年が64,869人、2022年が71,029人、さらに2023年には91,467人と年々多くなっている。とくに、厳しい熱波が長期間にわたって続いた昨年2024年の熱中症件数は、救急搬送人数でみると、5月から9月の期間における全国累計は97,578 人となっている。これは、調査を開始した2008年以降で最多の搬送人数である。
また、■「日本における熱中症による年間死亡者数の動向」に示すように、厚労省が人口動態統計(確定数)で公表している1年間の熱中症の死者数の動向を見ると、1980年代までは2桁台が多かったが、1990年代に入って増加傾向となり、1994年以降は1995年が318人、2000年が207人、2005年が328人と3桁台で推移している。熱中症患者数の増加が顕著となった2010年に初めて1731人と1千人を超えたが、2013年の1077人以外はまたしばらく3桁台で推移した。しかし、2017年以降は2018年が1581人、2019年が1224人、2020年が1528人、2022年が1477人、2023年が1651人と毎年1千人超えの4桁台で推移してきたが、昨年2024年の6〜9月の死者数(確定値)は、さらに2千人台に急増し、2033人と過去最多となっている。
さらに、▼「全国の職場における熱中症による死傷者数(死亡者数)」に示すように、全国の職場における熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、厚生労働省の報告では、2013年以降は2014年が423人(12人)、2015年が464人(29人)、2016年が462人(12人)、2017年が544人(14 人)、2018年が1,178人(28人)、2019年が829人(25人)、2020年が959人(22人)、2021年が561人(20人)、2022年が827人(30人)、2023年が1106人(31人)と推移してきたが、昨年2024年は厳しい猛暑日(気象庁の3千地点以上の観測地点で35度以上の猛暑日を記録)が長期間続いたため、統計を取り始めてからでは、過去最多の1,257人(前年比151人・約14%増)となり、死者数(確定値)は31人で、3年連続で30人以上となっている。これは、労働災害による死亡者数全体の約4%を占めていて、職場における熱中症対策の重要性が高まっている。
また、▼「業種別に見た熱中症による死傷者数(死亡者数)」に示すように、2019年~2023年の熱中症による死傷者総数(死亡者総数)を業種別に見ると、建設業、次いで製造業で多く発生していることが分かる。
建設業886人(54人)>製造業846人(18人)>運送業583人(5人)>警備業428人(18人)>商業435人(11人)>清掃・屠畜業272人(6人)>農業95人(9人)>林業36人(0人)>その他701人(7人)の順で多く発生している。〔*( )内の数値は死亡者総数であり、死傷者総数の内数である。〕

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